知らないと損をする?特殊車両通行許可に関する罰則と取締り
東京都武蔵村山市の特車申請屋さん(運営:紺野行政書士事務所)です。
トレーラーやダンプなど特殊車両は原則、道路を走ることは禁止されており、車両と経路ごとに許可を得ることで例外的に走ることができます。
無許可で通行していることが取締りなどによって発覚すると、罰金、高速道路における大口・多頻度割引停止措置、違反事業者の公表などの制裁があります。
この記事では、特殊車両通行許可に関する罰則と取締りについて、専門の行政書士が経験に基づいてわかりやすく解説します。
この記事を読むと、特殊車両を扱う上で思わぬ罰則を受けないために知っておきたい知識が身につきます。
目次
特殊車両とは
特殊車両とは、一般の道路を通行するために特別な許可が必要な大型や重量の車両を指します。
特殊車両を通行させるときは、道路管理者の許可を受けるように、道路法で定められており、この許可のことを特殊車両通行許可といいます。
特殊車両は原則、道路を走ることは禁止されているため、それを例外的に解除するための許可となります。
この申請には、多くの書類や手続きが必要ですが、企業が特殊車両を安全かつ法的に運行するためには、この許可は欠かせません。
特殊車両通行許可について詳しい解説はこちら▼
全体像がわかる!特殊車両通行許可の申請から許可までの流れをわかりやすく解説
罰則の区分
特殊車両は無許可だったり、許可はあっても付された条件に違反して通行させると、罰則があります。
この罰則は、違反した運転手のみではなく、事業者や会社にも同じように科されます(両罰規定)。
罰則は違反内容によって異なります。
無許可
100万円以下の罰金です。
また、許可証を携帯していても、車両のサイズや重さが許可内容を超えていたり(諸元違反)、許可されていない経路を通行(通行経路違反)しても同じ罰則となります。
許可証の不携行
100万円以下の罰金です。
許可証を持っていても、会社に置きっぱなしになっていて、取締りの際に許可証を提示できなければ不携行として罰則となります。
許可証は提示までが義務ですので、車検証とセットにして取り出しやすい場所に置いておきましょう。
関連記事はこちら▼
許可証のおすすめ保管方法【特殊車両通行許可】
通行条件違反
100万円以下の罰金です。
許可にはほとんどの場合、条件が付されます(夜間限定通行など)。
その条件に違反して通行しますと、無許可と同じ扱いになります。
許可証をとったらおしまいではなく、許可証に書いてある通行条件も守りましょう。
措置命令違反
6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金です。
取締りでなんらかの違反が発覚した場合、道路管理者(NEXCOなど)による措置命令を受けることがあります。
措置命令には、積載物や寸法等の軽減措置、通行の中止、夜間限定通行の時間まで通行の中止などがあります。
国土交通省資料:違法車両への取締まり強化
この措置命令に従わない場合は措置命令違反として罰則の対象となります。
違反点数の累積(高速道路の大口・多頻度割引停止)
高速道路6会社では、重量超過等の違反が後を絶たず、道路を劣化させる要因となっていることを踏まえ、違反車両に対する徹底した指導取締りを実施しています。
高速道路上で違反が発覚して累積点数が増加すると、大口多頻度割引制度において、割引停止、利用停止などの措置があります。
違反の程度により、違反点数は異なり、その違反点数の累積で、割引停止や利用停止となります。
点数区分
違反の種類が重いほど、違反点数は高くなります。
車両制限令違反者に対する大口・多頻度割引停止措置等の見直しについて
・指導警告
車両制限令違反車両のうち、措置命令の発出基準に至らない違反に対する指導
・措置命令A
法定速度を遵守し、可能な限り低速で走行のうえ、指定する場所から流出させる行政処分
・措置命令B
法定速度を遵守し、可能な限り低速で走行のうえ、指定する場所まで移動し、当該車両の諸元を車両制限令に規定する制限値(通行許可を受けている場合はその許可値)以下になるよう、積荷貨物の分割等により軽減させる行政処分
・措置命令C
法定速度を遵守し、可能な限り低速で走行のうえ、指定する場所まで移動し、必要な通行許可を受けるまでの間、当該車両をその場に留め置く行政処分
・即時告発相当
措置命令B又はC相当、かつ基準の2倍以上の超過違反
即時告発については、このあと、詳しく解説します。
違反点数に応じた制裁
違反点数の累積で措置内容が厳しくなり、累積違反点数が60点以上で高速道路割引の一部停止となります。
この違反点数は事業者ごとの累積であり、加入する組合を移動しても点数は引き継ぎます。
車両制限令違反者に対する大口・多頻度割引停止措置等の見直しについて
違反点数が累積される期間
違反点数が累積される対象期間は以下の表の通りです。
以前は3ヶ月でしたので、よほど悪質でなければリセットで難を逃れることができたかもしれませんが、現在は2年間は累積され続けますから、事業者はみな相当気をつける必要がありそうです。
車両制限令違反者に対する大口・多頻度割引停止措置等の見直しについて
取締りの実態
取締りは通常、高速道路の料金所で実施されます。
(別紙)特殊車両の通行に関する指導取締りの強化について
方法としては、2通りがあります。
・指導取締基地
道路監理員により、警告書、措置命令書の交付、軽減措置等の実施があります。
道路監理員には車両停止権限がないため、警察官と同時に取締する場合が多くあります。
・車両重量自動計測装置
道路監理員が対応するわけではありませんので、その場で警告書、措置命令書の交付を受けることはなく、後日、事業者へ警告書等が送付されます。
繰り返し違反を行う事業者は呼び出しの行政指導が行われます。
これは高速道路に限らず、一般道でも設置されています。
即時告発とは(悪質違反車に対する厳罰)
国土交通省資料:違法車両への取締まり強化
ここまで、違反の程度に応じて、違反種別があり、違反点数が変わってくることを述べましたが、違反種別の中でもこの即時告発は、特に悪質と判断された場合の制裁です。
違反が発覚したときは、通常、まずは指導がされて、是正されないときに処分されますが、違反内容が特に悪質と判断された場合、即時告発で、一発目から刑罰が課されます。
即時告発の基準
無許可車両の場合
「車両総重量が一般的制限値の2倍以上のとき」です。
※車両重量の一般的制限値が25tなら、車両総重量が50t以上
許可車両の場合
「(許可証記載の車両総重量-一般的制限値)+一般的制限値の2倍)以上のとき」です。
※許可証記載の車両総重量が35tで、一般的制限値が25tなら、(35t-25t)+(25t×2)=60t以上
即時告発による制裁
100万円以下の罰金です。
また、一発で、高速道路の一部割引停止(1ヶ月以上)となります。
ちなみに、違反に応じた点数は別途加算されます。
車両制限令違反者に対する大口・多頻度割引停止措置等の見直しについて
国土交通省は平成26年5月9日付けで「道路の老朽化対策に向けた大型車の通行の適正化方針」を策定し、今後、悪質違反者には厳罰化していくことを盛り込んで公表しました。
この方針に関係する具体的な施策の一つとして、平成27年1月23日に車両総重量が車両制限令の一般的制限値よりも2倍以上超過している悪質違反者については、違反事実をもって告発を行う「即時告発」の実施方針が打ち出され、同年2月23日に施行されました。
高速道路機構及び高速道路6会社においても、この方針を参考に、悪質違反者への厳罰化を図っています。
記事全体のまとめ
この記事では、特殊車両通行許可に関する罰則と取締りについて解説しました。
結論は、
・罰則
取締りで違反が発覚すると、違反の程度に応じて、罰金のほか、違反点数が累積して高速道路の割引一部停止や、国道事務所に呼ばれて指導を受けるといった制裁があります。
まずは指導や警告を受けるのが通常ですが、規定の2倍以上の重量で走行するなどの特に悪質な事業者に対しては、即時告発といって、一発で罰金などの刑罰に加え、高速道路の割引一部停止の制裁があります。
・取締り
通常、高速道路の料金所で実施されており、道路監理員により、重量やサイズのチェックが行われます。
違反が発覚すると、警告書、措置命令書の交付、(車両の重さやサイズの)軽減措置等の実施があります。
また、車両重量自動計測装置(カンカン)は一般道に設置されていることもあり、その場合は、その場で警告書、措置命令書の交付を受けることはなく、後日、事業者へ警告書等が送付され、繰り返し違反を行う事業者は国道事務所など道路管理者のもとに呼び出しの行政指導が行われます。
思わぬ罰則を科されないためには、特殊車両通行許可を得て、許可に付された通行条件を守って運行することが大切です。
特殊車両通行許可申請は事業者が安全かつ法令を守って運行するために必要な手続きですが、非常に複雑で手間がかかります。
道路法、車両制限令、道路交通法などの法令知識が必要な上、実務処理や役所対応のノウハウも求められます。
さらに、法令や制度は常に変わるため、その都度対応が必要です。
行政書士に特殊車両通行許可申請を任せることで、通行許可の取得後も専門的な視点から相談に乗ることができます。
特殊車両通行許可に関することでお困りの方は、専門家である行政書士にご相談ください。